イトコからお菓子が届いた。
亡くなった叔母あてに線香を送った、そのお返しだった。
それくらい薄い付き合いだから、また線香をあげに行って気を遣わせるのは避けたかったので(この足だし)線香だけ送ったのよ、ほんと気持ちだけの金額の。
叔母とは年に1、2回会うくらいで、そう頻繁に会っていたわけではない。
コロナ以降は会ってなくて、そろそろ解除になるかなという後半の頃には叔母から会おうという電話が何度かあったんだけど、
私はすでに足が痛くなって杖をついてる状態だったから、それを知られたくなかったので、まだ危ないからと言い訳をしてのらりくらりとかわしていたのよ。
まさか叔母が病気で残りわずかな命だとは知らず、今になって思えば、何とか最後に私に会おうとしてたんだなってわかるんだけど・・・・
叔母は美人だった。
「神田愛花」さんによく似ている。
帰省中実家でフジの「ぽかぽか」で彼女を見るたびに叔母を思い出した。
古いところで言うと「十朱幸代」さんにも似ている。
でも、ちょっと気が強くて、華やかな笑顔はやっぱり「神田愛花」さんに似ている。
線香をあげに行って叔母の遺影を見たときに、ああ、やっぱりきれいだ!と思った。
それはおそらく、いつか撮った写真の一枚ではなく、このために撮ったのだと思った。
真正面からではなく、ほんのわずかに視線をそらした撮り方が自然で美しく、こういう表情をする叔母をよくとらえていた。
この時、叔母はどんな気持ちでいたのだろう・・・・
叔母の病気を知らず、葬儀も終えた後に突然知らされて、まともに話したこともないイトコに電話をかけて、その声を聞いたとたんに号泣してしまった。
幼い頃に一、二度会っただけのその声が記憶のどこかにあった。
コロナ禍の中、父が亡くなり、母からは葬儀に来ないように言われた時、叔母は納得できず「ふ~みん、変装して行こう!」と本気で言われた😂
そこから一年後、今度は叔母の妹の夫が亡くなった。
闘病中であったことも、亡くなったことも、葬儀も姉妹である叔母にすら事後報告でショックを受けたようで、私に電話をかけてきた。
その時すでに叔母は自身の余命があと一年と知っていたそうだ。
話そうと思えば出来たはずなのに、叔母は電話でそんな素振りは見せなかった。
家族以外には誰にも知らせない、って決めていたんだろうね。
父の死に目に会えず、葬儀にも参列出来ず、叔母の闘病も知らされず、葬儀後に亡くなったと知らされて、
本人が苦しんでる姿や最後の顔を見ていないせいか、今でも亡くなったとは思えず、帰省すればその辺からひょっこり出てきそうな気がするし、叔母からは「ふ~みん、美味しい物食べに行こう」と声がかかりそうな気がする。
もし、本人が徐々に弱って行く姿を目の当たりにしていたら、思い出すたびに苦しくなっていると思う。
だからこれで良かったのかもしれない。
ただ、叔母が何度か私に電話をしてきたのに、足のことを知られたくなくて避けたがために会わずに終わってしまったことが悔やまれる。
もし会っていたら話してくれたのかなあ、何か私に言いたいことがあったのか、それが心残りで、気持ちだけの線香を送ったんだけど。
イトコは「母を覚えてくれてうれしかった」と言っていたけど、
次までには足が良くなってイトコに会えたらいいなと思ってる。
