軽い世間話が出来る知人のところで老後の住まいのことや年金のことを話した。
最初は、うん、うん、そうだね、そうなんだと相槌を打って聞いてくれていたが、
そのうちいつものように話題からややずれたトークになっていった。
やっぱりどちらかというと、聞くより話したくなるんだよね。
一方的にしゃべるのも良くないので私は聞く側にまわり、
他の人の話を半分くらい聞いていた。
みんな年齢も生活環境も異なるので、
共感できるところもあれば、そうでないところもあるからだ。
そうやって、ぼ~っとおしゃべりの輪の中にいた時、
いちばん年上の人が、友人が勤務先から九州への転勤を言い渡されたと話し始めた、
どういう職種、年齢なのかわからないが、
おそらく60代半ばを過ぎ契約更新で働いてる人なのかもしれない。
その人が今回更新しようとした時、
会社側から「九州へ転勤して下さい」と言われたそうな。
ということは会社としてはもう更新したくないのだろう。
でも辞めて下さいとは言えないから、
そう仕向けるためにおそらく断るであろう、遠い九州への転勤を言い渡したわけだ。
その人はおひとり様で賃貸住まい、悩んだ結果、九州へ行くことに決めたそうだ。
その話をもうちょっと詳しく聞きたかったのだが、
用事があっておしゃべりの輪から離脱せねばならず残念だった。
60歳過ぎていきなり九州へ転勤、明らかに会社の嫌がらせ。。。
一時の感情で九州行きを断らず、よくよく考えた上でのことだろう。
断って会社を辞め、別の職場を探すという手もあるが、現実は難しいと思う。
仮に同じ職種につけたとしても、職場というのはそこで働いてみないとわからないし、
人間関係に慣れるのも大変、収入だって希望通りに得られるかどうかわからない。
遠い九州のまったく異なる環境で生活する不安はとてつもなく大きいだろうけど、
現状の生活を維持するにはそうせざるを得なかったのかもしれない。
もし自分だったらどうするか。。。。
人のことは客観的に見えても、自分のことは見えないから、
とりあえずあちこちおしゃべりして意見を聞こうと思う。
若ければ戻れる可能性もあるだろうけど、
この人の場合は片道切符になるんだろうなぁ。。。
職と収入を失うのは怖い、けれど本当に怖いのは住まいを失うことじゃないだろうか。
転勤だから引っ越し費用は会社持ちだろうし、
住まいも会社が用意してくれれば賃料の負担も無いのかもしれないが、
もしそこも辞めざるをえなくなった場合、次の住まいを探すのは相当厳しくなってくる。
無職でも若ければ親兄弟の保証で借りられるかもしれないが、
高齢ではそうもいかなくなるよね。それに住所がなければ仕事も探せない。
高齢になっても職を選ばなければ地方よりは都会のほうが働ける可能性は高い、
でも東京に戻れなければ、住所がなければ応募すら出来ない。
地縁のない土地でこのままずっと暮らしていくんだという覚悟があれば、
それはそれで開けるものがあるかもしれないが、
60年以上暮らした東京へ戻らないという決心がそうそうつくものなのだろうか。。。
私も今後どこでどう暮らすのかよく考えなきゃいけないと思った。
◇
めったに行くことのないローソン。
私の行動範囲からは微妙にズレているからだ。
でもちょっと休憩したかったのでファミマを通り越し行ってみた。
ここはカウンター席があって店内で買ったものなら飲食できる。
午後3時を過ぎ、全体的に商品の数も、
カウンターのケース内にあるパンやお菓子も目ぼしいものがなく、
値引きになったフレンチトーストとコーヒーを注文した。
会計をし、ここで食べていきますと言ったら、温めてくれた。
コーヒーを淹れてる間「今日は雨があまり降らなくて良かったですね」と話かけられた。
70歳前後くらいの女性だった。
顔見知りでも何でもないのにごく自然に言われたから
私もそうですね、良かったですねと素直に反応してしまった。
食べ終えて出ようとしたら女性と同年代くらいの男性店員に
「こんな時間なので商品が揃って無くてすいません」と言われた。
とても穏やかなトーンで。
もしかしてオーナーご夫婦??
コンビニではなく、近所にある馴染みの店で買い物をしたような、
ほんわかした気持ちになった。
もしオーナー夫婦でないにしてもこのお歳でコンビニの業務をこなすというのはすごい!
宅配便とか公共料金の支払い、
ポイントやら割引やらいろんな操作を覚えなきゃいけないわけだから。
でもやる気さえあればきっと出来るんだろうと思えた。
やらざるを得ないのかもしれないが。。。
九州転勤の話は他人ごとではなく明日は我が身だ。
雇われて働いている以上何が起こるかわからないもの。