職場で数名のオジさんたちが業務中だというのに何かの話で盛り上がっていた。
聞くともなしに小耳に入れていると、詐欺にひっかかりそうになった話だった。
それは、
NTTから(最初SMSだったか電話でだったか聞き逃したが)回線契約している何かの料金がずっと支払われていないので払って欲しいという内容で、
その料金は月額500円程度なんだけど、何十年と支払われていない上に延滞金もついて相当な額になっていた。
「そんな料金知らなかったし、払えませんよ」と言うと、
『あなた(職場のオジ)のように知らなくて払っていなかったという人がたくさんいて、救済措置としていったん払ってもらった後、還付申請してもらえればほぼ全額戻るので、コンビニで払って下さい』と説明を受けたらしい。
怪しいと思ったオジはNTTに電話して、かくかくしかじかでと話したところ、そんな請求はしませんと確認がとれて事なきをえたらしい。
「支払っても還付申請すれば戻ってくる」というのが新手だよね。
振り込め詐欺の話はよく聞くし、何でひっかかるかなあと思うけど、たぶん状況設定が巧妙で当事者になると、瞬時に冷静な判断が出来なくなってしまうんだよ。
支払いもレターパックに現金を入れさせたり、電子マネーとかギフト券とか、コンビニのマルチ端末とか実に巧妙だもの。
時々携帯に佐川から荷物の配達に来たが留守だったので連絡下さい、みたいなSMSが入ってくる。
宅配業者がSMSで連絡をとることはあり得ないので無視しているけど、見た瞬間は、詐欺だとは思わない。
だから反応してしまう人の気持ちはよくわかるし、私も今後絶対ひっかからないとは言いきれない。
職場でのNTT詐欺小話を耳に挟んだその日、心配になってすぐに母に電話した。
私や親戚とか携帯に登録してある番号以外からの電話やメールは全て無視すること、宅配業者のメールも詐欺だから絶対反応しないこと。
私に関することで何か連絡があっても、私と直接話して確認するまでは信用しないこと。
お金がすぐ必要になることなんて絶対にないから、どんなことがあっても支払ったりしないで、と念を押した。
見ず知らずの会社や人からならともかく
誰もが知るNTTから料金が支払われてないなんて連絡があったら、田舎のしかも高齢者は疑うということはしないと思うからひっかかってしまうかもしれない。
全てに対してまずは疑ってかからなきゃいけないというのが田舎の高齢者には難しいんだよ。
NTTの詐欺にひっかからなかったオレ自慢の小話を披露していた職場のオジ、
それは冷静さによるものではなくケチだったからだと思う。
部下に自販機で飲み物を買ってあげた後、しばらくして、あの時のジュース代百円ね、と請求したというマジケチなオジ、
でもそういうシビアな金銭感覚だったから詐欺にもひっかからなかったんだと思う。