いつもの曜日、時間にプールへ行くと顔ぶれはだいたい同じだ。
そのおば様方の顔ぶれの中のひとりAさんは社交的で正義感が強い。
いつだったか、プールの端で私を間に挟んで、左側に見知らぬおば様、右側にAさんが横一列に並んだ状況になった時、
A:(私の胸を通り越して見知らぬおば様を指さし)ねぇ、ふ~みん、コイツぶつかっても絶対謝らないんだよ!
見知らぬおば様:Aさんを睨みながら何かを言う。
私は突然のことで言葉も出ず(私を巻き込むのやめてよ~)Aさんをなだめた。
そうしているうちに、見知らぬおば様はさっと泳いで行ってしまったのでそれだけで済んだ。
そんなことをすっかり忘れていた今日、一触即発の場面があった。
背泳ぎの好きなおば様は少なくない。たぶん息継ぎが不要だから楽なんだと思う。プールが混んでいようといまいとマイペースで延々と背泳ぎをする。
Bさんもその一人だ。背泳ぎ以外の泳ぎは見たことが無いし、どんなに混んでいてもコースを譲らないからぶつかる、で謝らないから当然Aさんは許せない。
でも最近はアイツはそういう奴だから、みたいな感じでAさんはBさんに近づかないようにしているように見えた。
ところが、今日はいつもBさんが泳ぐコースをAさんが独占していて取られまいとしているように見えた。
その様子を珍しいな、とプールの端で眺めていたら、
Aさんが(25m)プールの真ん中あたりに立っていた。そこへ奥の方からBさんが背泳ぎで泳いできた。で、Aさんの横を通り過ぎようとしたその時、
Aさんが手で水をすくい、Bさんの顔にちゃ~とかけた(両手で水をすくっていたような気がする)
(こういうのって一瞬の出来事なのに衝撃的だからスローモーションのようにコマ送りで見える)
顔に水をかけられたBさんは驚いて立ち止まった。
この瞬間私が思ったのは、
あ、もしかして手が出ちゃったりして、、、
どうする!Aさんならやるかも。
Bさんの方が背が高くて体も大きいけど、Aさんは負けん気が強いからたぶん勝つな。。。だった(笑)
でも実際は私が予想した展開にはならず、二言くらい言葉を交わし(私には聞こえなかった)Bさんは何事もなかったかのようにそこからまた背泳ぎを始めた。
Aさんのことだからこれまでに幾度となく「何で謝らなの!」とBさんに言ってるはずだから、今日のこともその程度のことなのかもしれない。
もしくは、Bさんが驚いて立ち止まった時に「ごめ~ん、水はねちゃって」みたいに言ったのかも、そう謝られたら「わざとでしょ」とは言えないもんね。
私の脳裏には虎視眈々とBさんに水をかけるタイミングを狙ってるAさんの姿が焼きついていて、ちゃ~と水をかけたその瞬間はまさにコントのようで何度も思い出し笑いをしてしまった。
Bさんの背泳ぎは足はまったく動かず、手は水面をなでてるような泳ぎだからほとんど進まない。だからAさんがBさんの顔に真上から水をかけるのは実に簡単だった。
慌てるでもなく、ゆっくり楽しそうに水をちゃ~とかけていた。その表情は見えなかったけど、たぶんニヤッとしていたに違いない。
Bさんをアイツはそういう奴だからと言いつつも、Aさんの心には積もるものがあって、それを解消するにはあの水ちゃ~が必要だったのだろう。
私は先にプールを出てしまったので次Aさんに会った時に事の顛末を聞いてみよう。(年齢もあるけど)忘れていそうな気がする。