杖を持った私が電車の優先席に座っていると、隣の席が空いていたとしても座らずに立っている人がいる時がある。
昨日がそうだった。
職場の最寄り駅から電車に乗り込み、運良く優先席の一つが空いていたのでそこに座った。
次の駅で隣に座っていた人が降り、目の前に大荷物を持った女性が立っていたので、手のゼスチャーで「どうぞ(座って下さい)」みたいに勧めたら、
「次の駅で降りるので大丈夫です、ありがとうございます」とにっこり笑って返答された。
このひと言と彼女の笑顔だけで私の心は一瞬にして浄化されたよ(笑)
そして次の駅で彼女が降りる間際「お気をつけて」とまた笑顔で声をかけてくれた。
なんて気の利いた言葉なんだろうと思った。
人の心を傷つけるのも癒すのも言葉ひとつだね。普段から使ってないと、とっさには出ない言葉だ。
◇
私は歳の割には気の利いた言葉が出てこない。
気の利いた、というのは何も上手い表現とかしゃれたひと言とかではなく、その場その人の気持ちにスッと入っていくようなさりげない言葉のことだ。
未婚で子供もいないから、隣近所、ママ友、学校、親戚、旦那の仕事関係その他諸々の付き合いが無いため圧倒的に社会経験が不足している。
いろんな場面に遭遇していればそれなりに気の利いた言葉も身につくと思うが、それが一切無いからな。。。
個人差もあるだろうが我ながら情けないと思う。
面白い時、楽しい時、はしゃいでいる時はいい。
けど、悲しい時、気持ちが落ちている時、なんとか気の利いたひと言をかけてあげたいのに出てこない。
それどころか余計なことばかりごちゃごちゃとしゃべってしまって後で自己嫌悪することが多い。
やっぱり経験が足らないのかな。それともそんなことは関係ないか。
でもこの日学んだよ、「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人はいない。
些細なことでも感謝は言葉で伝えるべきだね。
彼女の口元はマスクで隠れて見えなかったけど、目元が笑っているのがよくわかった。
「ありがとう」「お気をつけて」だけなのに、笑顔で言われて心にしみたなあ。